第5回準会員支援講演会を終えて

 

準会員支援委員会委員 伊藤正満(29回生)

 

平成24年9月30日(日)午後1時より愛知学院大学楠元学舎歯学・薬学図書館情報センター4階大教室において、今年も歯学部4年生とその保護者を対象にした「第5回準会員支援講演会」が行われました。当日は、台風17号が接近中(実際午後7時に愛知県東部に上陸)で開催すら危ぶまれるような天気予報でしたが、予定通り午前から準備を始めました。

 2008年から始まった、準会員支援講演会も今年で5回目となりました。準会員支援委員会では、国家試験の合格率の全国平均が下がりはじめた当初より歯科医師国家試験に合格出来ない同窓生を一人でも増やさないために同窓会としてもなにか出来ないかといった目的のもと、準会員(在校生)が充実した学生生活を送り、国家試験を合格するための一助として、歯学部教育の現状と臨床実習開始前の共用試験および本学歯学部の臨床実習や卒業試験の概要について、準会員(在校生)本人とその保護者にあらためて理解してもらおうという趣旨で行われているものであります。当初は1年生を対象にしていたが、2回目からは4年生を対象に行われ、毎年、実際に共用試験や対象学年の教務の担当をしている教授陣を講師としてお迎えしてお話しをしていただいております。

 今年の参加者予定者は講演会出席人数が125名、講演会終了後の個別面談希望者が47組であったが、当日の台風などの影響で一部キャンセルがあり、それぞれ103名と35組での実施となりました。

 井上峰雄会長、小出忠孝学院長の挨拶で始まった講演会は、最初に千田彰教授(保存修復学講座、教務主任)より、歯学部教育に関する現状についてお話しをして頂き、次に平場勝成教授(生理学講座、4年生学年主任[基礎]、CBTcomputer based testing]担当)より共用試験(CBT)の説明とその心構えをご講演頂きました。続いて、有地榮一郎教授(歯科放射線学講座、OSCEobjective structured clinical examination]担当)より、同じく共用試験(OSCE)の説明とその心構えをご講演いただきました。最後に、服部正巳教授(高齢者歯科学講座、教務委員長・4年生学年主任[臨床])より総合歯学と国家試験への対応について学年主任の立場からお話しをいただきました。講演に参加した4年生とその保護者にとりましては、現在の歯学部教育における4/6(6分の4)という立場と、国家試験までの流れや、しなければいけないことを分かりやすく示していただけました。

 特に、平場先生の「実はこれから共用試験に臨む学生さんにとって時間の余裕はすでにありません。ヤマを張って合格出来る試験ではありません。今から毎日“広く深く”勉強して下さい。」といったお話しは、共用試験を控えた歯学部4年生に“学習の質がこれまで(3年生まで)と同じではいけないこと”と“これかの勉強に対する態度”を示しており、講演会の趣旨を具体的に言い表したお言葉としてとても印象に残っております。

 また、かねてより文部科学省・厚生労働省では歯学部の入学定員削減、歯科医師国家試験合格率の引き下げの方向性が示されておりましたが、その具体的な数字はなにも公式には発表されておりません。しかし、近年の国家試験の合格率を分析すると、ある年を境にそのことが実際に行われていることが数字でも明らかであることが示唆されたことも大変興味深く(かつ不安にも)感じました。

 講演会終了後は、会場を楠元図書館情報センター3階の第5、6、7講義室と、研究棟2階の第2、3セミナー室に移し、在校生(準会員)と保護者と金森教授(生化学講座、教務主任)と講演者の千田教授、平場教授、有地教授、服部教授の5名による個人面談が行われました。

 当日朝より心配されていた台風17号がどんどん愛知県に迫ってくる中、多くのキャンセルが予想されましたが、講演会を聞いた参加者の多くは面談に参加されることを望まれ、大きな混乱もなくほぼ定刻通りに終了しました。

 講演会終了後、参加者から回収したアンケートには「CBTOSCEのことがよくわかった。」「今日のように子供と一緒というのはとても良かったです。」「参加させていただき、本人もお話しを聞けて少しは気持ちも真剣になったと思います。」など、講演会の趣旨が十分伝わった印象をうけました。一方で「天候不順に関する案内がHPなどで掲示していただけると幸いです。」「問い合わせ先の TELが繋がらず困った。」など、連絡や掲示にかんする要望が多かったのも今年の特徴のように感じました。